入江昭著『日本の外交』(中公新書)
アメリカ外交の思想的基幹というべきものには二つあり、軍事力による平和維持が一つ、もう一つは主として経済政策を通じて人類の福祉をはかり、万人が自由意志で選んだ政府のもとに生活できるような国家秩序を作り出していこうというものである。前者が現状維持的であるのに対して後者は変化を想定するものであり、この二つの並立がいかにむずかしいかは、ヴェトナム戦争がすでに示しているとおりである。しかしこの二つのうちどちらかがアメリカの政策から消えてなくなるとは思われない。政治的自由と社会的福祉を求めて、人類がたえまなく歩んでいくだろうという概念、そしてその歩みは平和的たるべきだという考えは、アメリカ外交の根本的信念だからである。〜p.180, 「終章 外交とは何か」
続編が出ているが、その後20年経過…。
「その他」へTB.
日本外交にも新しい思想的基盤を築きあげるときがきたようである。〜〜〜〈中略〉〜〜〜そしてかりに国防はアメリカに依存し、政治的、経済的には共産圏とも接触し、というように両者間に矛盾が生じても、必ずしもその矛盾に悩まされる必要はないであろう。外交のすべての点に統一がなくてはならないという法則はないからである。〜p.184-185最後, 「終章 外交とは何か」
しかしながら、国防も貿易も、実利的な実益を求めた国策である。それ以外にも日本の国家的目標、道標を定めるときがきたのではなかろうか。大正、昭和前期の日本人は、アジア主義の思想を追求し、不成功に終わった。もっと具体性のある、しかも生きた思想として日本外交の三つ目の柱となりうるものはないか。日本人が自分達の安全と繁栄のほかに、世界の中の一国としての生きがいを感じ、みずからを捧げることのできるような理想はないだろうか。従来の理想主義はあまりにも自己中心的、あるいは観念的、排他的であった。同時に国際環境に恵まれていなかったために、日本が外交思想を十分発達させえないこともあった。今後望まれるのは、日本人をして新しい外交の思想を展開させうるような国際環境であり、そのような環境を作るべく日本人が努力することである。とすれば、より貧しい国、より未開の国の人びとを助け、人類の福祉に貢献するのが最善の道であることは明らかであろう。もとより国土の防衛や繁栄を忘れてはならないが、二十世紀後半にあたって、もう少し国際的な視野に立って人類の悩みを眺め、東も西も共産主義も反共も越えて、人間として、他の人間と接する道を考えてみたいものである。
by lisaloeb0401
| 2011-04-03 21:53
| 読 書
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by lisaloeb0401
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